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小田急電鉄について

社会交通工学科 1年 上田 浩太郎

1.路線概要

 小田急電鉄は、小田原線、江ノ島線、多摩線の3つの路線があり、有料特急の「ロマンスカー」がある。 東京メトロ千代田線とJR御殿場線との乗り入れも行っている。


・小田原線

 小田原線は、1927年4月1日に全線開通。東京都新宿区の新宿駅から神奈川県小田原市の小田原駅(82.5km)を結ぶ。最高速度は110km/h。
東京圏の通勤路線としての性格と、有料特急のロマンスカーをはじめとする小田原・箱根方面への観光輸送の両面を持つ。
 東京都区部を通る区間を中心にラッシュ時は混雑する。そのため、代々木上原駅から登戸駅 - 和泉多摩川駅間の地点との間は輸送力増強のため複々線化事業が行われており、2004年11月までに代々木上原駅〜梅ヶ丘駅を除く区間が完成している。
 若者の街下北沢、高級住宅街の成城、住宅地・繁華街の町田、小田急電鉄の中心駅相模大野、ベッドタウンの海老名や、海に面する歴史に満ちた城下町小田原を結ぶ、小田急を代表する路線である。
 東京メトロ千代田線と相互直通運転を行っていて、小田急の車両は代々木上原駅から東京メトロ綾瀬駅まで乗り入れる。なお、東京メトロの車両はJR東日本取手駅方面から千代田線、小田原線を経て多摩線唐木田駅へ通し運転されるものもある。
 小田原駅から箱根登山鉄道箱根湯本駅まで特急ロマンスカー、急行列車及び一部の各駅停車が乗り入れているが、2008年3月15日のダイヤ改正以降は急行・準急列車は箱根登山鉄道へ乗り入れず、特急ロマンスカーと一部の各駅停車のみの乗り入れとなる。


・江ノ島線

 江ノ島線は、神奈川県相模原市の相模大野駅から神奈川県藤沢市の片瀬江ノ島駅間(27.6km)を結ぶ。最高速度は110km/h。
 正確には相模大野駅から小田原駅方の地点に小田原線との分岐点「相模大野分岐点」があり、ここは運賃計算に反映されている。小田原線が開業して2年後の1929年4月1日に全線開通した。
 小田原線新宿駅・町田駅などから直通列車が運行されている。


・多摩線

 多摩線は、神奈川県川崎市の新百合ヶ丘駅と東京都多摩市の唐木田駅(10.6km)を結ぶ。最高速度は110km/h。
 多摩ニュータウンへの連絡鉄道として建設された経緯がある。途中の小田急多摩センター駅まで開業した当時、そこより先を橋本駅まで京王相模原線と併走する計画であったが、京王相模原線と競合する事や単純に旅客需要が見込めない事から取り下げ、唐木田駅と車庫を開業させた。
 今後は横浜線相模原駅や相模線上溝駅方面への延長も計画されている。
 開業当初から2002年までは線内(新百合ヶ丘駅〜唐木田駅間)での折り返しがほとんどだったが、現在は区間準急と千代田線・常磐線直通の多摩急行がそれぞれ日中に毎時2本運転されている。
 将来は、川崎縦貫高速鉄道線との相互直通運転も計画されている。



2.優等列車 特急ロマンスカー

 新宿駅をターミナルとして「ロマンスカー」と総称して呼ばれる有料特急列車を運行しており、系統・種類に応じて下記の愛称が違う。全列車、全車指定席。ロマンスカーアテンダントという客室乗務員が車内販売を行っている。(18時以降に新宿駅を発車する「ホームウェイ」では車内販売が行われていない)
 JR東海御殿場線に乗り入れ、沼津駅まで「あさぎり」が運行されている。車両は20000形RSE及びJR東海371系。
 2008年3月15日からの東京メトロ千代田線への乗り入れが開始された。これらはすべて60000形MSEにより運転される。


・ 展望席

 3100形「NSE」で採用した運転席を2階に設け、その下に展望席を設けた構造(運転士は客室天井から梯子で運転室に出入りする)が、7000形「LSE」・10000形「HiSE」まで約25年間踏襲したことにより、「小田急のロマンスカー」は「先頭に展望席が付いている特急電車」というイメージが広く受け入れられている。また、2005年に登場した50000形「VSE」にもこのスタイルは踏襲されている。
 しかし、1990年代になって「あさぎり」号に使用された3000形「SSE」の代替として製造された20000形「RSE」では連接台車と同様の理由で展望席を設けなかった。さらに3100形「NSE」を置き換える目的で大量製造された30000形「EXE」については利用客の需要が必ずしも全区間乗車ではなく区間利用が中心であったことから、展望席を設けなかった。なお、運転席越しからの展望は確保されている。
 結果、10000形「HiSE」以降展望席を設けた車両が登場しなくなったことから、鉄道ファンの一部や家族連れ、特に子供などからは「小田急はロマンスカーから脱却した」と言われたりもしたという噂もある。だが、全区間乗車をする利用客から「やはり展望席があった方がいい」という声があったことで、それが17年ぶりの展望席を設けた車両である50000形「VSE」の製造につながったともいわれている。
 なお、7000形LSEと10000形HiSEには展望席が14席設置されているが、小田急電鉄は最前列から3列目までの12席のみを「展望席」として発売しており、4列目に設置されている2席は「一般席」扱いとなっている。また、50000形VSEに関しては、展望席部分16席すべてが「展望席」として発売されている。



3.現在使用されている車両


・特急用車両(★が展望車が設置されている車両)

7000形「LSE」★
10000形「HiSE」★
20000形「RSE」
30000形「EXE」
50000形「VSE」★
60000形「MSE」地下鉄乗り入れ用


・通勤用車両

4000形(2代目)(地下鉄千代田線直通対応車両)
3000形(2代目)
2000形
1000形(一部編成は地下鉄千代田線直通対応)
8000形(一部車両がリニューアルされている)
5000形・5200形(一部車両が廃車、一部の6両編成は4両化[1])


・事業用車

クヤ31(TECHNO-INSPECTOR)


50000形VSE

写真1 展望車が設けられた特急ロマンスカー50000形


60000形MSE

写真2 地下鉄に乗り入れる特急ロマンスカー 60000形 MSE


通勤型新4000形

写真3 JR東日本のE233系をベースにした通勤用車両 4000形



おわり


 
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